10月11日から10月17日、台湾文化部、経済部、台北市の共同主催で開催された「台北ファッションウィーク2024春夏」が閉幕しました。オープニング・ファッションショーと14のファッションショー、国立台湾工芸研究発展センターによるファッション・工芸ショーなどが開催されました。オープニング・ショーに登場したJustin XXは、著名オンラインマガジン「hypebeast」の国際的ランウェイ・ベスト10に選ばれました。また、日本の漫画家、伊藤潤二氏が台湾のデザイナーWANGLILINGとコラボレーション。伊藤潤二氏の代表作「富江」、「なめくじ少女」、「双一」シリーズ、「ファッションモデル」、「首吊り気球」、「血玉樹」などがステージに登場しました。
また文化部は東京ファッション・ウィークを開催する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の太田伸之理事を招待し台湾と日本のファッションウィークのコラボレーションの可能性について探求しました。太田氏は、台北ファッションウィークでは多くのダイナミックな若いブランドを目にしたと述べ、今後の台湾ファッション業界におけるより多くの若者の活躍に期待を寄せました。
注目の台湾新世代ブランド 無限のクリエイティビティと独自のスタイルを披露
今回の「台北ファッションウィーク2024春夏」では、15のブランドによるショーが開催されました。各ブランドが異なるインスピレーションで今シーズンのテーマを設定し、独自のハイライトを考案し、台北ファッションウィークの多文化的価値を創造しました。
参加ブランド:IRENSENSE、SILZENCE × AIW、GIOIA PAN、WEI.TZU-YUAN、Seivson、oqLiq、INF、WooLeeX、StoryWear、WANGLILING、Liyu Tsai、RAY CHU、JENN LEE、#DAMUR、Daniel Wong
注目の台湾新世代ブランド①INF
文化とファッション美学の融合を得意とするINFは、ロンドンファッションウィークでの2週間のポップアップ展開を終えたばかりで、海外のバイヤーから高い評価を得ました。INFの今シーズンのテーマは《辦桌Ban-Doh》。辦桌は冠婚葬祭や子供の誕生1ヶ月祝い、お寺の式典など屋外で食事をする台湾の伝統文化の一つです。
プリントは伝統的な辦桌からインスピレーションを得たもので、大きな円卓や赤いプラスチックの椅子、ランタン、格子などを組み合わせ、スタイリッシュでエレガントなクラシックスタイルとなっています。衰退しつつある台湾文化に敬意を表すと共に、伝統をファッションで再現しています。
注目の台湾新世代ブランド② HANSEN
共同ショーNewBreed(新世代ブランドショー)の一つ、台北ファッションウィーク2023春夏でヤングタレントショーに登場したHANSEN。今回はオリエンタルな「文化民族」をフィーチャーし、儒教、仏教、道教からインスパイアされた宗教的なモチーフ、シンボル、そしてアースカラーでアジアの伝統を融合させました。またシンプルなラインを使用することでモダンさを表現し、より現代的な美学に沿ったものとしています。
注目の台湾新世代ブランド③ RAYCHU
今回台北ファッションウィークに初登場のRAY CHUは、2017年に上海ファッションウィークで秋冬コレクションを発表し、2022年以降は毎シーズン、ロンドンファッションウィークに招待されています。今シーズンは海洋にインスパイアされ、マンタを主要テーマの一つとしました。海洋に敬意を表し、生地の80%がリサイクルされた魚の鱗や生分解性ポリエステル繊維などの天然素材で製作されています。
注目の台湾新世代ブランド④ IRENSENSE
2024年春夏楽天ファッション・ウィーク東京に登場したばかりのIRENSENSEとSeivsonが、今シーズンも台北ファッションウィークに帰ってきました。IRENSENSEは『vision』をテーマに、色彩、トーテム、型や生地の細部を通し、アリスのおとぎの世界と少女の想像力を伝えています。
注目の台湾新世代ブランド⑤ Seivson
WWDJAPAN DIGITALが発表した、楽天ファッション・ウィーク東京No.1ブランドを決定する読者投票“T-1グランプリ”で1位となったSeivson。2024年春夏シーズンのメインテーマは働く女性です。職場での女性の魅力をイメージした、深いUネックのフォーマルなスーツやシャツ、スカートなどの素材や形で、スマートでスタイリッシュな雰囲気を醸し出しています。
現代工芸とファッションの融合、さらなるファッションの可能性を探求
国立台湾工芸研究発展センターは、昨シーズンの伝統工芸とファッションを融合させたオープニングショー《敬芸》に続き、《現代工芸ファッションのクロスオーバー》と題したショーを企画・発表しました。今シーズン登場したのは、「繊維織物_鍾瓊儀 × 8=D」、「竹工芸_林靖格 ×ALLENKO3」、「金工_蘇小夢 × Jamie Wei Huang」、「石芸_邱創用 × SHAO YEN」、「繊維芸術_康雅筑 ×TANGTSUNGCHIEN」、「天然染め_林潔怡 × UUIN」という6組の現代工芸家とファッションデザイナーのコラボレーションです。伝統工芸文化をファッションという舞台に呼び込み、工芸とファションの実験的なコラボレーションを見せました。
台北のショー会場を飛び出し、高雄で台湾全土で最も高価なヨットショー開催
ベルリンのラグジュアリーストリートウェアブランド #DAMUR のショーは、モデルらが高雄市愛河からヨットで登場し、今シーズンも大胆なショーとなりました。スポーツファッションの流動性、躍動感溢れる芸術の幻想をテーマに、PVC製オーバーサイズ・トレンチコート、ネオンピンク、グリーンのジャガード・トップスとスーツのミックス&マッチなど、不規則でドリーミーなラグジュアリーファッションを表現しました。立体的なカッティング、多次元的で幾何学的な配置、フリルのディテールが、シルエットとボディの美しさを生み出します。
日本の漫画家、伊藤潤二氏とコラボレーションしたWANGLILING
WANGLILING SS24「樹樹系列」は、日本の漫画の巨匠である伊藤潤二氏初の台湾ドラマ「聡明鎮」との国際的なコラボレーション、そしてドラマとファッション界の初のクロスオーバーコラボレーションとなりました。伊藤氏の名作「血玉樹」からインスパイアされており、「聡明鎮」や「聡明樹」のテーマからも影響を受けています。
WANGLILIGシリーズは、ダークな黒を基調としテクノロジーを感じさせるスタイルです。伊藤氏の奇妙で内省的な世界観にマッチしています。今回のコレクションはその物語やキャラクターに敬意を表し、二次元の世界観を光と影に取り入れました。ホラー漫画・芸術とファッション・デザインのクロスオーバーコラボレーションとなっています。
日本のファッションプロモーターと台湾文化部、台日ファッションウィークにおける協力の可能性を探求
日本のファッション業界のキーパーソンであり、日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の理事である太田伸之氏が台北ファッションウィークを訪れ、台湾文化部の王時思次長と会談しました。その中で、台北ファッションウィークが今後、どのように東京ファッションウィークの成功から学び、多くの若手デザイナーブランドを国内外にプロモートできるかを議論しました。また、台湾の紡織工場で作られた生地を日本のデザイナーが使用することや、台湾と日本のデザイナー同志のさまざまなコラボレーションの可能性を模索し、アジアのファッションをともに新たな高みへと引き上げたいとしました。
太田氏はまた、海外で活躍する台湾人デザイナーが台湾でショーを開催する機会を提供、あるいは留学しているファッション大学の台湾の若者が帰国してブランド事業を起こす手助けをしてはとアドバイスしました。
台北ファッションウィークについては、ユースカルチャーをテーマにしたオープニングショーはファンキーで面白かったと語りました。また若手のバイタリティを感じさせるブランドのショーも多く、今後もエネルギッシュな台湾ブランドに期待したいと話しました。
「2023 台北ファッションウィークSS24」開催概要
● 会期:2023年10月11日(水)〜10月17日(日)
● 公式会場:松山文創園区(Songshan Cultural and CreativePark)
● 主催:行政院文化部
● プロデュース:台湾コンデ・ナストグループ CNX Taiwan
● 公式サイト:https://tpefw.com/
● Facebook: @tpefashionweek
● Instagram:@tpe.fashionweek
● YouTube:https://www.youtube.com/@taipeifashionweek4596
● 台北ファッションウィーク・セレクトショップ
開催期間 :2023年10月11日(水)〜10月29日(日)
開催場所 :台北 SOGOデパート復興館5階
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